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2025/5/9

登壇

AIで社員の退職予測など、アジア最大・シンガポールのAIイベントで注目されたスタートアップ

AIで社員の退職予測など、アジア最大・シンガポールのAIイベントで注目されたスタートアップ

シンガポールのAIイベント、注目スタートアップ

2024年6月5〜6日にかけて、シンガポールのマリーナベイ・サンズにて、アジア最大のAIイベント「SuperAI」が開催されました。世界中から5000人以上が参加、また700以上のスタートアップが応募したピッチ戦「Genesis」が実施され、今後期待されるAIスタートアップ10社が選出されました。

Genesisでは、最も革新的かつアーリーステージのAIスタートアップが登壇。Amazon Web Services(AWS)が提供する20万ドル以上の賞金を目指し、専門家パネルやSuperAIコミュニティの審査を受けました。審査員には、IN. Capitalのジェン・ジュ・スコット氏、AWSのイアン・シコラ氏、500 Globalのビシャル・ハーナル氏らが名を連ねています。

Genesisで優勝したのは、デジタルコンテンツがAIで生成されたり、操作されたりしたものでないことを検証するソリューションを開発する英国拠点のOpenOriginsでした。

           Genesisの優勝者OpenOrigins(筆者撮影)

同社は、デジタルメディアの信頼性を担保するための2つの主要製品を提供。1つ目は「Archive Anchor」で、アーカイブ内のすべてのアイテムのデータを検証し、改ざん防止の分散データベースにアンカリングすることで、アーカイブの完全性を保護するプロダクトとなります。

2つ目は「Secure Source」で、既存アプリケーションに導入できるマルチプラットフォームのSDKです。このSDKにより、アプリ経由で撮影された写真のデータを収集し、それをハッシュ化、写真のオリジナルデータとして記録することで、写真が操作されたものではないことを保証できるようになります。

また、「Provenance Prover」と呼ばれるソリューションも提供されています。これを活用することで、あらゆるメディアコンテンツとクロスリファレンスしつつ、当該コンテンツにどのような編集が加えられたのかを追跡し、独自性を検証できるようになります。

オンラインメディア、コンテンツクリエイター、保険会社、人道支援団体、ソーシャルメディア、デートアプリなど、幅広い業界での活用が想定されています。フェイクニュースや詐欺コンテンツが蔓延している現状に対し、大きな変化を生み出すとの期待が、同社に寄せられています。

AIで社員の退職リスクを予測するフィリピンのスタートアップBetterteem

優勝は逃したものの、OpenOriginsのほかにも、会場で特に注目を集めたスタートアップがいくつかあります。AIを活用して従業員の退職リスクを予測し、優秀な人材の定着率向上を支援するソリューションを開発するフィリピンのBetterteemは、その1つ。

           Betterteemのピッチの様子(筆者撮影)

フィリピンのBPO業界では、優秀な人材の確保と維持が事業成功の鍵を握っています。しかし、コールセンターでは離職率が高く、新しい人材の採用・教育にかかるコストが経営を圧迫しているのが実情です。

Betterteemはアーリーステージでありながら、すでに地元大手企業との提携を進め、大きな成果をあげています。

大手BPO企業のTelepresenceは、Betterteemの AIソリューションを活用することで、従業員の退職リスクの予測と低減に取り組みました。Betterteemの提供するBetterteem AIは、従業員の感情や行動データを分析し、退職の兆候を事前に察知。HR部門や現場のマネージャーは、AIによる予測に基づき、退職リスクの高い従業員への個別対応を講じることができます。

Telepresenceでは、Betterteemの導入から6カ月という短期間で、前年同期比15%の離職率削減を達成。採用・教育コストの大幅な削減と、従業員満足度の向上を達成できたとされます。また、AIによる退職リスクの予測は、人的リソースの最適な配分にも役立っているといいます。

フィリピンでは、熟練したコールセンタースタッフの離職による損失は、スタッフの年収の78%にも上ると言われており、退職者の低減は、大きな費用対効果をもたらすことが期待されます。同社のソリューションは、フィードバック、表彰、福利厚生、面談、ミッションなど、従業員体験に関わる様々な要素を分析対象としており、退職リスクの予測だけでなく、従業員のエンゲージメント向上や企業文化の改善にも役立つとされています。

インドのSparkBeyond、分散化GPUスタートアップNeuroMeshなども登壇

Genesisでは、インドを拠点とするアナリティクススタートアップSparkBeyondもトップ10企業に選出されました。SparkBeyondは、複雑なデータから自動的に新しい特徴量や知見を発見するAIプラットフォーム「SparkBeyond Discovery」を提供しています。

SparkBeyond Discoveryは、時系列データ、地理空間データ、テキストデータ、グラフデータなどの複雑なデータセットを迅速に統合し、外部データとも組み合わせることで、ビジネスに影響を与える要因をホリスティックに理解することを可能にします。また、特徴量の自動抽出や、自然言語での知見の提示など、AI駆動の自動化により、データ準備や探索的データ分析に費やす時間を70%削減できるとしています。

           SparkBeyondによるピッチの様子(筆者撮影)

ポーランドのSantander Bankでは、SparkBeyondの技術を活用し、WAFやIPS、SIEMなどのセキュリティ関連データをAIで分析する先進的なサイバーセキュリティ監査の取り組みを進めています。従来の監査手法の限界を超え、人間の監督のもとでアラートの精度を高め、脅威を迅速に特定・対応することを可能にしているといいます。

また、エネルギー大手のEquinorは、SparkBeyondと協力し、掘削時に油とガスを見分ける方法という業界の長年の難題に取り組みました。4000以上の油層サンプルのデータベースと、掘削時に排出される泥水ガスのリアルタイム分析を機械学習で組み合わせることで、生産時の掘削岩のガス・オイル比(GOR)を予測するモデルを構築。掘削時に経済性の低い生産ゾーンに遭遇した際に警告を発するシステムを実現しました。

このほか、AIモデルトレーニングの分散型プロトコルを開発するNeuroMeshやリップシンク/翻訳プラットフォームを開発するVerbalate.aiなどが登壇し、注目を集めました。

以上、シンガポールで開催されたSuperAIで注目を集めたスタートアップの一部を紹介しました。従業員の退職予測に特化したBetterteemをはじめ、複雑なデータから知見を引き出すSparkBeyond、AIトレーニングの民主化を目指すNeuroMeshなど、企業のDXを加速する革新的なソリューションが登場しています。今後もアジアを中心に、AIスタートアップのさらなる躍進が期待されます。

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