2025/5/7
登壇
Pharma USA 2025参加【北米市場でのAI活用支援にリーチ】2025年が勝負の1年、掴みつつあるグローバル展開

2025年3月18日から19日にかけて開催された「Pharma Expo USA 2025」に参加し、製薬業界における最新の技術動向やAI活用のユースケースについて多くの知見を得ることができました。本報告では、ワークショップと展示会を通じて得られた主要な学びや今後の戦略についてまとめます。
ワークショップ参加概要
ワークショップでは、エージェントAIと*Generative AI(Gen AI)*の違い、さらには製薬業界における実務での活用方法に焦点を当てた議論が行われました。特に、技術に精通した参加者による現状の限界や課題に関する意見交換が印象的でした。

ドーム型の商談スペースで内容の濃い商談が続きました。
エージェントAIの特徴と価値
エージェントAIは、単なるタスクの自動化にとどまらず、複雑な業務の判断を補助したり、実行後のフィードバックを反映することが求められます。特に、業務の中で発生する問題を自動で修正したり、ガイドラインに沿った結果を生成する能力が強調されました。
この「結果のフィードバック機能」は、製薬業界における規制やコンプライアンスの遵守を支援するうえで、非常に重要な要素であると認識されています。
また、エージェントAIを効果的に活用するためには、専門的な知識や技術的な理解(エキスパティーズ)の獲得が必要です。特定の業界における深い知識を持ち、それをAI技術に組み合わせて活用する能力が、エージェントAIを単なるツールから、業務の中心的なサポート役へと変化させる鍵となります。この点が他のGenerative AIとの大きな違いとして議論されました。
創薬エージェントのデモを披露
現地ブースでは、創薬領域向けのAIエージェントの稼働デモを紹介しました。PubMedをはじめとした学術データベース(DB)と接続し、文献の検索、要約、比較を自動で行うエージェントは、特にR&D部門の来場者から高い評価を受けました。創薬領域におけるAIエージェントの活用は、研究プロセスの効率化、精度向上、そして新しい治療法の発見に貢献する可能性があります。

創薬エージェントのデモ画面
デモを通じて、AIがどのように研究の支援を行うかを実感していただきました。特に、以下の機能が注目されました:
仮説検証と論文支援
AIは仮説に基づいてデータ収集と分析を行い、迅速に仮説の有効性を確認します。また、文献レビューや論文作成のサポートを行うことで、研究者の負担を軽減し、研究成果の発表を効率化します。データ変換と研究プロセスの最適化
研究データの統合を行い、AIが次のステップを提案することで、無駄を省き、研究の方向性を明確にします。また、異なるシステムやフォーマット間でのデータ共有をスムーズに行うことができます。トレンド分析と臨床試験の支援
AIは公開されている研究データや臨床試験結果を分析し、最新の科学的進展を抽出します。臨床試験データを効率的に解析し、試験の進行状況を迅速に把握することで、次のアクションを決定する支援を行います。有害事象の予測と規制対応
AIは過去のデータに基づき副作用を予測し、安全性の向上に貢献します。規制に関するガイドラインや手続きを自動で確認し、書類作成をサポートします。仮説生成と検証の支援
新しい仮説を生成し、既存データに基づいてその有効性を評価する機能により、研究者は迅速に新しいアイデアを試し、研究のスピードが加速します。
AIエージェントは創薬の各段階で重要な役割を果たし、研究者がより高精度な研究を短期間で行えるよう支援します。これにより、製薬業界全体に革新がもたらされ、患者にとっても新しい治療法の発見が加速されることが期待されます。
北米の生成AI導入の現状
多くの企業が*PoC(Proof of Concept)段階にとどまっており、商業化や実際の売上への影響を測る段階にはまだ至っていないという現実が明らかになりました。企業側では、AI技術のROI(投資利益率)*を明確に示すことが求められており、エンゲージメント指標だけでは十分ではないという点に強い意見が集まりました。
また、AIベンダーへの依存や、ユースケース作成後の十分なトレーニングがなされていないことが、効果を実感できない要因として挙げられました。今後は、実務に直結したデータとその活用方法に焦点を当て、具体的な成果を上げることが重要と考えられます。
現地ブース出展で得られた知見
現地ブースでは、製薬業界におけるAIの活用方法に関する多くの質問が寄せられ、特にエージェントAIの活用事例に対する関心が高かったことが印象的でした。来場者は、実際の業務にどう活用できるのか、どのような効果が期待できるのかという点に強い興味を示していました。

ブースには多くの来場者が足を止め、シニアコンサルタントの大森が熱心にデモンストレーションを行っています。
また来場者が実際に操作できるインタラクティブなデモアプリが非常に効果的であることを再確認しました。実際に触れるデモを通じて、自身の業務にどのようにAIを活用できるかを体感することができ、説得力が格段に高まりました。
米国と日本のAI活用の違い
米国市場においては、技術的な理解が進んでいる一方で、実務利用にはまだ慎重な企業が多い印象を受けました。その反面、日本市場では、すでに多くの企業がAIを業務に組み込み始めており、技術的な導入が進んでいると感じました。
米国市場では、企業の内製化が進んでおり、外部ベンダーによるSaaS(Software as a Service)の提供はあまり受け入れられていない現状があります。そのため、米国企業に対しては、AI技術の内製化支援やコンサルティングといった当社がこれまで国内に採ってきたアプローチが同様に有効であると感じました。
今後の戦略
今後の戦略として、以下の3点が特に重要であると考えています。
内製化支援
米国の製薬企業に対しては、エージェントAIの内製化を支援することが重要です。自社内でのAIエージェント開発をサポートし、技術を深く理解し活用するエキスパティーズの獲得を支援することが、企業にとって有益であると確信しています。実績を重視した提案
ただのPoCにとどまらず、実際に業務効率化や売上向上に直結する成果を示すことが、商談を前進させるための鍵となります。特に、具体的なデータを基にしたROIの向上を強調し、クライアントに価値を提供することが求められます。インタラクティブなデモとユーザー体験の提供
展示会や商談においては、実際に触れることのできるデモを提供することがカギです。特に、業務フローの改善にどのように貢献できるかを体感できるシナリオを提示し、クライアントの理解を深めることが必要になると考えます。
結論
Pharma Expo USA 2025を通じて、エージェントAIが製薬業界にどれほど大きなインパクトを与える可能性があるかを再認識しました。特に、創薬エージェントのデモが示したように、AI技術は業務効率化や新しい治療法の発見を加速する力を持っています。実績に基づいた提案や、インタラクティブなデモを活用することで、クライアントに具体的な価値を示すことができると確信しています。
また、今感じているのは、2025年は生成AIマーケットの盛り上がりもあり導入に対して門戸が開かれているタイミングだということです。製薬業界の中でAI活用の理解が進み、特にR&D部門では具体的なニーズが高まっています。ただその門戸が開かれている
タイミングもわずかという肌感のため、今こそチャンスを掴みにいくべきタイミングと強く感じました。
今後、これらの知見を活かし、国内外問わず製薬企業や他業界に対してさらに一歩踏み込んでチャレンジして参ります。
最後に
次回は2025年4月18日〜4月19日に開催されるAI in Finance Summit New York 2025、2025年4月28日〜4月29日に開催されるMomentum AI New York 2025に参加いたします。
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