2026/8/26
採用
【VP of AI Solutions 和泉 健】テクノロジーの最前線を選び続けてきたキャリア。次はAI最前線でエンジニアを問い直す。

「どこまで行くんだろうというのが今の環境で試せる、それが最高だろうなと思って入社した感じです」
「どこまで行くんだろう」が指しているのは、AIのことだ。AIにそこまでできないのではないか、と思う自分もいる反面、周囲は実践するムードで動いている。それであれば、手を動かしてみるか。その先に何が待っているのかを、現場で手触りをもって確かめられる環境がここにある、とGenerativeX(以下、GX)を選んだ。
テック時代の幕開けにエンジニアリングのキャリアをスタート
インターネット黎明期、部活でコードを書いてみた
和泉が最初にコードを書いたのは高校時代の部活動だった。キーボードパートをコンピューターで自動演奏させたい、「それがきっかけで、興味を持ってやってみたんです」。そしてその経験から、大学でも情報科学を専攻することになる。
彼が進学したのはWindows 95が発売され、インターネットがまだ目新しいもので、パソコン自体も一部の人のものだった時代だ。進学した情報科学科もできたばかりで、物理や電子工学、数学から教員が集まって成り立ち、技術も学問も輪郭が定まっていなかった。そのなかで惹かれたのはアルゴリズムであった。
「最短距離化とか計算量というか。いかに計算量を少なくさせるか、そういった研究が興味深かったですね」
最短距離化とは、たとえば地図上の2点を最短経路でつなぐような問題を指す。計算量とは、その答えを出すまでにコンピューターがどれだけの手間を費やすかという尺度だ。当時のパソコンのメモリは数メガバイト、CPUの処理速度も今のスマートフォンにはるかに及ばない。同じ答えにたどり着く方法が複数あるとき、非効率な解き方を選べば計算はいつまでも終わらない。だからこそ、いかに手数を減らすかを考えること自体が研究として成立した。数学的な思考でシステムを捉えるこの視点が、以降の彼のキャリアを形作っていく。
ゴールドマン・サックスでエンジニアになる
「彼ら(ゴールドマン・サックス)はほとんど自社でシステムを開発していると聞いたんです。事業会社でありながら、社内にエンジニアが3割いるという説明だったんです」
就職活動をしていた頃は日本の金融機関にもシステム部門はあった。ただ実装の主体はベンダー側にあり、行内の役割は仕様を決めて発注を管理することが中心だった。メインフレームと制御プログラムはITベンダーに任せ、業務プログラムだけを金融機関が開発するという分担が定着していた。学部の同期も、日立やNTTデータへ進む人が多かった。
同じような選択肢もある中、和泉はゴールドマン・サックスを選ぶ。金融業界がIT投資に積極的だったことも背景にはあるが、決め手は、自社にエンジニアがいて内製化するという文化だった。
「エンジニアが多い組織だと知っている人はほとんどいなかったんです。エンジニア採用をしていると知れたこと自体がラッキーでした」
東京オフィスでのエンジニアは海外大学出身者を含めると20名近く。入社当初は英語も金融の専門用語もわからず、「会話よりもプログラミングのコードを見た方が理解できるみたいな状況」から一年。「慣れざるを得ない、という感じですけれど」と笑いながら振り返る。
「1年目から本番環境で動いているシステムに対して仕事をして、毎日ユーザーと話し、フィードバックを受けながらものを作ったり改修したりする。事業会社でエンジニアが社員としてシステムを開発するというのは、稀有な環境でした」
使う人と作る人が同じ場所にいる。席も近く、フィードバックはその日のうちに返ってくる。発注側と受注側に分かれた構造では体験できないことであり、エンジニアとしての土台を積み上げていった。
特に印象に残っているのは、当時の上司がとった采配だ。入社してすぐ、本番環境のオンコールサポート、障害や問い合わせの一次窓口を担当することになる。
「あらゆるシステムの利用状況や問題が、最初に自分のところに来る。だからインプットが多いんですね。大変だけども、オンボーディングとしては多様なことを知れたので一番いい配属だったのかなと思っています」
日々目の前の対応を重ねていく中で得た学びもある。その場ですべてを理解しきらなくてもいいという点だ。起きた事象を一気に消化はできない。それでも2週間、3週間、1ヶ月と経つうちに「あの時のあれか」と頭の中でつながっていく。腹落ちしてくると、次に同じトピックを話すときの解像度がまるで違ってくる。点に触れておく。時間をかけて点と点がつながり、輪郭が見えてくる。だから最初に多くの接点を持つ場所にいたほうがいい。
なぜその点に触れられる場所にいることが大事なのか、という回答も当時の経験から得ている。
「一次情報に一番価値があるので、現場で取ってくる。すぐには理解できないかもしれないけれど、こういうことが起きているんだ、と肌で感じることを(当時は)続けていました」
一方で現場に行けば理解できるとも限らない。それを痛感したのが、入社4〜5年目のことだった。あるシステムのリーダーをしていた頃、インドに運用拠点を作ることが決まり、現地チームの立ち上げに関わることになる。インドがITで急成長していた時期だ。
「インドの方たちって競争心が強いから、絶対Noって言わないんですよ。『やります、できます』なんですね。実際はあとから方法を考えるんだけれども、Noと言った瞬間にもう誰も自分のところへ話をしてくれなくなるという意識が高いんです」
競争が前提の環境で育った人たちと毎日仕事をする。Yesと言われても確証があるわけではなく、日本人が言う「大丈夫ですよ、ご安心ください」と意味が違う。同じ言葉の持つ意味が置かれた環境によってまったく別のものを指すことを体感する。
「文化的な違いや多様性のあるチームで進めるときには、文脈を意識しなければいけない、ということを教わりましたね」
「自分で一次情報を得て、文脈を理解しないと物事は見えてこない。インドの時は彼らと直接一緒に仕事をして、身体感覚で得るものがありました」
一次情報を取るが、その情報がどのような文脈から出てきたのかまで掴まなければ、判断を誤る。GS時代のこうした経験が、以降のキャリアに通ずる土台になっていく。
挑みがいのある変革をリードしたキャリア中期
16年のキャリアから40歳で新しいチャレンジへ
「40歳を迎えた頃に、スタートアップなど新しい環境に挑戦するなら今だろう、という気持ちで飛び込みました」
16年在籍したゴールドマン・サックスを退職。在籍中も何度か次を考えたことはあった。クラウドやオープンソースが企業システムの本流になりつつあった時期で、後輩たちがスタートアップを立ち上げたり挑戦したりする動きも増えていた。自分も挑戦しようと、まずはスタートアップへ行ってみるという選択をした。
以降のキャリアは、組織の拡大期に入ることもあれば、行き詰まった状態を立て直すこともあった。「これは挑みがいのあるテーマ」と選んでいった結果である、と話す。
フィンテックスタートアップのPaidyでは、VPoEとしてエンジニア組織の急拡大と決済インフラの整備を担った。続くアデコ(Adecco Japan)ではCIO・執行役員として、国内最大手の人材サービス企業のDXを総指揮。停滞していた大規模プロジェクトを立て直し、全社のIT投資を統括した。その後はKPMGイグニション東京でDirector/Head of Technology Foundationを務め、規制環境下でのクラウド基盤とセキュリティ統制を構築。GX入社直前のRESTARでは商業用不動産向けB2B SaaSのVPoEとして、LLMやOCRを活用したAI機能開発を主導した。
スタートアップの急成長フェーズも、大企業のDXも経験している。これは意図的な選択だった。
「業態も業種も事業規模も選ばずに、システムを通じて組織の課題にソリューションを提供していく。そこに挑んできた部分です」
どれも骨の折れる経験であった。スタートアップは採用と組織拡大に苦労する。大企業のDXには「このままでいい」という既存の価値観が横たわっている。それでも動き続けることができたのは、環境を変えることを消耗ではなく蓄積として捉えていたことが大きい。
「自分自身をすり減らす局面もありますが、ひとつ上のメタのレイヤーでは、単に消費しているわけではなく、経験として自身の資本になっていると思ってやってきたという感じですね」
業態も規模も違う組織を渡り歩くなかで、深まっていった認識がある。エンジニアリングは、人と組織の問題と切り離せないということだ。
「DXはトランスフォーメーションですが、単にシステムを入れ替えることではなく、組織のトランスフォーメーション、変革が必ず絡み合っています」
システムを入れ替えれば終わる話ではない。その裏には必ず人がいて、人の生産活動があり、人とのやりとりがある。VPoEをはじめリーダーシップを取って体感してきたのは、まさにそこだった。
「エンジニアリングマネージャーやVPoEを務めると、会社の成長やプロダクトの成長と並んで、エンジニア個々の成長がある。どうしたらこの人の次のストレッチしたアサインメントを用意できるか、といったことを常に考えていました」
事業の成長、プロダクトの成長、個々人の成長。この三つを同時に考えることが醍醐味であったと振り返る。そしてこの三つは、AIが入ってきた今、いずれも前提が揺らぎはじめている。組織はどうあるべきか、エンジニアは何をする人なのか、成長とは何を指すのか。この三つを追いかけてきた40代であった。
Why GX?

「AIによりエンジニアはいらなくなるのか」を確かめたい ──GXを選んだ理由
「今までのコーディングをするエンジニアは不要になるのではないかと言われている中で、自分でも自問自答し、そう思う反面、実体験として確かめたい」
実体験したいというのは、エンジニアが要らなくなるその先だ。その先に何が起きるのか、不要にならないとしたらエンジニアは何を担う人になるのか。議論として眺めるのではなく、現場で自らの身体で確かめたいと、次のチャレンジとしてGXを選んだ。
「入社の決め手は、この新しい組織体系とAIを使ってどうやっていくか、に尽きます」
GXはAIを前提に役割分担そのものを組み替えている組織だ。AIにそこまでできるとは思えない自分もいる。一方で、GXのメンバーはAI前提で動いている。「だったらやってみよう」と入社を決めた。
「今のAIの流れで働き方や組織がどう変わるのか、答えはないと思いますが、現場で自ら探していける環境をGXは作ってくれている。その点で別格だと思います」
ゼロからの立ち上げと再生を繰り返してきたキャリアから見ると、GXは方向こそ異なれど地続きだ。選び方の軸は変わっていない。「挑みがいのあるテーマかどうか」である。
AIで作れる時代に、エンジニアを問い直す
「入社してみて、フロントのコンサルタントも含めてAIリテラシーが非常に高いことを実感しています。やれるらしいという伝聞ではなく、経験値として『自分で試してみたのですが』と話すメンバーが多く、活用のレベルは想像を超えていました」
入社して感じたのは、想像以上にAIネイティブな組織だということだった。AIでこういうことができるらしい、と伝聞で話す人はいない。自分で試した結果として話す。それがエンジニアだけでなく、クライアントと向き合うコンサルタント全員に当てはまる。
自身にも変化が起きている。たとえばSlackの返信を書いているときだ。
「Slackのメッセージを見て返信をタイピングしながら、『ちょっと待てよ、これは不要な手作業ではないか』と立ち止まることがあります」
文章を打っている途中で、AIに任せられる作業ではないかと気づく。かつては当たり前だった手作業に違和感を覚える。AIに何もさせていないと落ち着かない感覚が生まれてきた。
同時にAIを並行して使う難しさもある。常に複数のプロジェクトが動き、その間を行き来しながらまとめていかなければならない。それを受け、AIに何をどう覚えさせておくかなどの工夫も重ねている。「いかにアーカイブを作っておくかは深く考えますね」
打ち合わせが終わったらすぐ、翌朝この案件をどう進めたいかを忘れないうちにAIへ書き残す。どのセッションに記録すれば、どのプロジェクトの文脈として引き出せるのか。その振り分けを常にやりくりしている。「体力云々よりもそのあたりで苦労しています」。
その上で最も時間を使って考えているのは、GXにおけるエンジニアの役割そのものだ。
「これまでの強みはPoCフェーズだったと思いますが、今後はPoCで作ったアウトプットをプロダクションへ組み込み、お客様のアウトカムに結びつけなければならない。そこはエンジニアが設計すべき領域だと考えています」
PoCで作ったものを、利用者が日常業務で使う本番環境へ反映する。和泉はここをアウトプットとアウトカムに明確に区別する。前者は作った量、後者はお客様にとっての成果である。そして両者をつなぐ設計を担うのは、エンジニアであるべきだと考えている。まさにそれが、GXにおけるエンジニアの輪郭になる。
「アウトプットの量はいくらでも増やせます。最終的にお客様の利益に何が資するのか、社会において何を実現できるのか、という本質がこれからのエンジニアに問われるところです」
作れる量は、AIの使い方を覚えれば際限なく広がる。だが人間が享受できる量には限りがある。100本作っても本番に組み込めるのは厳選された数本で、その先には100人単位の利用者がいる。
「AIで量産したアウトプットを、どう人間の生産サイクルに合わせていくかが問われてきます。クライアントからすれば『ダメだったから明日から切り替えましょう』とはいきませんから」
ダメだったら作り直せばいい。この発想は開発現場では通用する。だが本番環境で人が使いはじめると、そうはいかない。その先には日々それを使って業務を回している現場がある。いかに摩擦なく移行を進め、利用者に納得してもらいながら新しい運用へ移ってもらうか。そこがこれからのエンジニアの仕事だと考えている。
GXへの入社を考えているエンジニアへ
「自分はこのまま今の仕事を続けていくのだろうか、と少しでも疑問に感じたならば、ぜひ飛び込んできてほしいですね。その疑問は正しいですし、GXはその答えを見出すのに最適な環境です」
迎え入れたいエンジニアは2タイプある。ひとつは本番環境に関わるエンジニアリングを経験した上で、「自分ならAIにこう動いてもらう」というビジョンを持っている人。もうひとつは組織設計そのものに関心があり、AIを使って新しい組織の機能を作ることに面白みを感じられる人だ。
「結局それだとOne of themだよね、と思っている方にはぜひGXを知ってもらいたいですね。GXでは、一般的なウェブエンジニアが経験するような枠に収まらない体験ができるはずです」
インターネット、内製開発、オフショア、クラウド。テクノロジーの転換点で常に最前線を選んできた彼の、生成AI最前線での活躍が楽しみだ。
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